アイビーで皮膚炎
うちの塾の塀には、アイビー(つた)がからまっています。これはこの建物の持ち主である夫の両親が植えたものだと思われます。お花の先生だった義母のアドバイスに従い、時々ちょうどよい長さに剪定しています。
この前の日曜日にも、夏に延びた枝を本格的に切っていました。やり始めるとノってきて、2時間くらいはやっていたと思います。けっこうきれいになりました。
ところがその日の夜、左手がすごくかゆくなりました。見ると、ひじから先がしっしんだらけになっています。かゆみ止めを塗って様子を見ましたが、治る様子がないばかりか少しひどくなってきたように見えるので、塾の近所にある皮膚科へ行く決心をしました。
「んー、これは、虫ではないねえ。」
おっきな虫眼鏡を当てながらお医者さんは言いました。このお医者さん、年は…おいくつぐらいなんだろう??
「これは、植物の接触によるもんじゃね。」
「おお!よくできました〜!その通り〜。」と心の中でつぶやいていると、
「じゃあ、注射をしましょう。」とおっしゃる。
「なに?注射?」
わたしの不安をよそに、お医者さんはいそいそと注射の準備をしていらっしゃる。
「注射がもし別の部分に刺さったらどうなるのかな…死ぬこともあるかな…。」
しかし、彼は注射を看護師さんに任せる気はないようでした。
「じゃあ、腕出して。」
おそるおそる左腕を差し出すと、お医者さん、わたしの肩の下あたりをチャチャチャっと消毒するが早いか、エイ!っとばかりにいきなり片手で注射を突き刺しました。それはまるで必殺仕置き人の藤枝梅安のような技でした。一瞬で突き刺し、出血もほとんどなく、見事に仕事をやり遂げていました。いつもの注射の時の「儀式」(腕をゴムでしばる・血管の上をトントン叩く・そして血管を浮き立たせる)は全くありませんでした。
このようにして、ものの数分で診察と治療は終わり、飲み薬とかゆみ止めをもらって帰りました。注射も、もらった薬もよく効いて、その晩からほとんどかゆくなることもなくあっという間に完治しそうです。