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バレリーナへの一歩

昨日から私は、バレエを習い始めました。

 ええ、あの、バレエです。白鳥の湖とか、クルミ割り人形とかを踊っているあの美しい人たちの仲間入りを果たしたわけです。

 私はいつも姿勢が悪くて猫背気味です。旅行の時の写真を見ると、きちんと「写すぞ」という態勢で写したものはまだましなのですが、後ろ姿とか、カバンの中をごそごそ探っている姿とかの写真は、もうほんま、目も当てれません。

 そこで!私は一大決心をしました。

 「バレエをやっている人で姿勢が悪い人を見た事がない。バレエを習ったらきっと美しい姿勢になるに違いない。よおし、バレエを習うぞ!」と…。

 さて、私は一度決めた事を突き通す性分、といえば聞こえはいいですが、要するに不器用で軌道修正がなかなかきかない人間です。申し込みをするとき、その翌日に体験入学を予約してあったので、担当の人から

 「明日が体験なのに今日申し込んじゃっていいんですか?」

と聞かれ、

 「あーはい、もうかまいません!」

と答えてお金も全額払ってしまいました。

 しかし実際の体験が始まって10分後、私はそのことを後悔しました。

 「こんなんで続けるのは絶対無理や…」

 私は比較的からだがやわらかく、バレエの基礎くらいなら難なくできるだろう、とたかをくくっていました。ただ頭の片隅では、

 「ヨガを習う時も最初たしかおんなじこと言いよったよね〜。でも全くできんかったよねー。」

と、もう独りの自分が警告を発していました。

 「いや、大丈夫よ。基礎やもん!」

 さて、体験レッスンが始まるとすぐ、先生は美しい動作で足を上げて、

 「まずは足を上げて下さい。ストレッチをしましょう。」

とおっしゃいました。目の前には、棒がドーーンと伸びています。そう、バレエの練習風景で必ずと言っていいほど映る、あの棒です。

 「映像ではたしかおへそくらいの高さじゃなかったっけ?」

でもその棒は、あまり背の高くない私の胸くらいの高さがありました。そこへ足を上げる…。いきなりそういう難題を出された私はぼーっと、かぐや姫に難題を出された高貴な男性陣のことを思い出していました。でも、ずっと棒を眺めていても仕方がないので、足をうんしょ、と手で持ち上げてなんとかかんとか棒の上にひっかけました。すると先生がおっしゃいました。

 「ではその棒の上で足を上下に動かしましょう。」

 は???今、ようよう手を使って乗せた足を、上下に動かせぇ???

 んなこと絶対に不可能なので、

 「私初心者ですから無理ですよ。」

と涼しい顔をしてそのままの状態でいました。すると先生が私の後ろまで歩いてこられて、

 「おしりに力が入ってないですよ。バレエでは常に力を入れておいて下さいね。」

とおっしゃいました。それでおしりをググッと真ん中に寄せて立つと、今度はそれまでのポーズを取る事が不可能になってきました。そこでまた先生に

 「背中は、こう。おしりは、こっち向け。足は、こう。」

と直されるとまたおしりに力が入らなくなり…。それでも必死でなんとかポーズを決めようとした時、先生に

 「首がないよ、首が!」

と、怒られてしまいました。

 「せんせい、わたしには最初から首がありません!」

首が短い私はそう言いたかったけれど、相手にされそうになかったので無言で耐えました。

「もう無理!!!」

と6〜7回思ったとこらへんでレッスンは終わりました。来週からが楽しみです…。


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