ビラ配り
ビラといえば、今まで自分は受け取る側だった。
ティッシュやなんかと一緒に配っていれば受け取るけど、おまけがついてなけりゃいらん。ビラ配っている人につかまらないよう、道の反対側を通ったり誰かの後ろに隠れるようにして通り過ぎる。配る人と目が合わないように。…まさか自分が配る事になるとは夢にも思わず。
今月の半ば、私は息子と高知市追手筋に立った。この時のために、前もって警察署へ行ってビラ配りの許可を取り(「所場代」2200円!)、何度も作り直してやっとビラを印刷した。私達が立っていたのは、高知追手前高校と土佐女子中高校の間の道。「2つも学校があるんだからあっという間に配り終わるだろう。」そういう安易な考えで場所を決定した。しかしその日は朝から雷が鳴り、雨の中カッパを着た子達は必死で学校へと急いでいた。
「この雨じゃあ、自転車の子は無理やな。」
自分に言い訳して、徒歩の子だけにビラを配ることにした。よし。第1号は、1人で歩いて来るあの子にしょう。
「Yamamoto English Schoolです。無料体験学習を…」
私がそう言ったとたん、その子の表情が固まるのがはっきりとわかった。顔をゆがめ、手で「いりません」という合図をした。
そう。そうですよね。私は見ず知らずの「アヤシイ」人。私やってそんな人から「アヤシイ」ビラはもらいたくない。
そこで今度は「口上」を述べるのをやめ、「おねがいしまーす!」だけ言ってビラを渡す事にした。さっきまでよりは受け取ってくれるみたいやった。それでも何度も何度も拒否される。だんだん気持ちがなえてくる。
今年の3月まで、私の目の前には生徒がいるのが当たり前だった。40人もの生徒を前に、「もっと少なければな…」と、今考えればとんでもなく贅沢な事を考えていた。それが、たった1人集めるのにこんなに苦労するとは。30分くらい立った頃にはもういやになってしまった。息子も同じだったようで、そろそろ学校の始業の時間で通る生徒も少なくなったこともあり、その場を退散した。100枚印刷したビラの半分しか渡せなかった(泣)。